心理療法003:共依存と子育て001

共依存(共生関係)についての解説。
親子関係から、子育ての姿勢など。

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◆共依存(共生関係)とは

共依存(共生関係)とは、お互いが相手に依存することで成り立つ関係のことです。

 

生まれたばかりの赤ちゃんが、親に依存しないと生きていけないというような関係は健全な依存といえますが、その後成長するにつれて赤ちゃんも、依存から抜け出して自立していくようになります。

 

しかしその成長過程において、不適切な育児を受ける環境に育った場合には、正常に自立することが難しいという場合がでてきます。

 

この自立を妨げるのが、依存から抜け出せない関係、共依存の関係です。

 

では親子の場合の共依存とはどのような関係でしょうか。

 

まず親の方は、「子どもを養育する」ということに依存しています。

つまり、このような親は子どもとの関係を通じて、「子どもに何かをしてやれること」によってようやく自分の存在価値を見いだすという依存があるわけです。

 

 

依存する親の多くは子供に対して「甘やかし」をします。

子供に依存した親は、子供が成長していくにつれ、だんだん自分がしてやれることが、少なくなってくることに不安を感じます。

 

そのために、子どもに自分でやらせた方が良いことまで、親の方から先に手伝ってやってしまおうとするのです。

 

一見子供を心配しての行動に見えますが、過度の干渉になってしまうのは、子供のためと言うよりも、親自身の不安から来る行動だと言えます。

 

一方で、子供の方は依存した親に育てられると、「自分でやるからいいよ」という一言がいえないまま、自分も親に依存するという関係を強いられることになります。

 

このような子供は、大人になってからもお互いで依存するような関係をもてる相手を探し出そうとします。自分の親との関係を再現するような関係です。

 

自分で出来ることも相手にしてもらうことを求めたがったりする関係や、あるいは逆に自分が親の立場で、相手を甘やかして依存させる関係を築こうとするわけです。

 

そしてまた、将来的にも自分が甘やかす親となって、自分の子供に依存させるように接するというのも珍しくないわけです。

 

このような操作的な親と暮らしてきた人は、大人になっても適切な人間関係を持つのがとても困難なものです。

なぜなら、自分は不適切な人間関係の取り方ばかり見せられてきているので、それ以外の方法をとることを知らないからです。

 

 

共依存は、まずどちらかが自立したいと思うことが、その関係を断ち切るためのスタートになります。

 

片方が依存をやめようと思っても、相手は何とか今の依存関係を維持するための抵抗を示すでしょう。

 

今日取り上げた親子の関係の場合であれば、親は何とか自分の手助けというものが必要なのだと、説得しようとします。

それでも依存を拒否されれば、「こんなに子供のことを思っているのに、なんて親不孝な...」といったことを言い出すかも知れません。

 

共依存の場合、その中で依存されることにより自己愛や自尊心などが満たされるという関係であるため、それを捨てても他の方法で満たすという決心も必要になります。

 

なかなか簡単なことではないですが、まずは自分が共依存という関係にあることを認識し、またそれ以外の関係の持ち方があることを経験しながら、自分の依存している部分を他の方法で置き換えていく必要があります。

 

 

友人との関係や仕事での人間関係などを、新しいやり方で作り上げていくこと、またそのような関係が自分にもとれることを知ることです。

それによって、自立して自分の判断で決定することも可能なのだということに、自分をならしていくのがいいのではないでしょうか。

 

また自分だけでは手に負えないと感じるのであれば、新しい人間関係を作り上げる方法やそのための訓練を教えてくれるような専門家に相談してみることが必要な場合もあるでしょう。その場合もまずは決心してスタートを切ることです。



◆共依存から脱却するには

共依存で生きることを強いられてきた人が、そこから脱却するということ。

 

そのためには、他人からの感情の操作に抵抗できるだけの知識を持ち、信じ込んできた幻想から自由になる必要があります。

 

「そんなことは考えない方がいいよ」という他人の声に対して、従う必要があることなのかそうでないのか、それを自分で判断できるようにする訓練が必要です。

 

子どもの時に判断力も乏しく弱い立場にあるときに、親が操作的な人だったりするとその影響を受けることを拒否することなど出来なかったでしょう。

 

 

その結果、自発的な自分の考えや感情は間違っていると思い込まされて大人になります。

「自分の感情を信じてはいけない、自分が感じていいのは他の人も認めることだけだ。」

「相手の感情を傷つけたのは、全て自分の責任だ。」

 

そしてまた、裏返しで自分の側からも、他の人がそのように信じることを強要することにもなります。

 

大人になってからもその影響は続いているので、親以外からでも感情を操作するやり方には屈してしまうことになります。

 

「そんな考えを持つなんて、ひどい人間だよ、私は傷つけられた」

「なんで怒ってるかわかる?あなたのそのやり方はひどいことなんだよ。」

「そんな考えを持っていると、いつかひどい目に遭うよ、あとで後悔するよ」

 

 

自分の意志や判断をもつことに充分な信頼を持っていて、また他の人との関係においても負い目を感じずに接することが出来る、そんな人ならばこういう脅しには乗らずにいることが出来ます。

 

しかし、いままで共依存の環境で生きてきた人にとっては、他人からこのような感情操作を受けると、すぐに自分の判断がぐらついてしまいます。

 

「やっぱり自分のしようとしていることは、間違っているのではないだろうか?」と考えてしまうわけです。

 

そこで、これまでの幻想を打ち砕いて、新しい自分が持つべき指針は次の点です。

 

「私は他人の言ったことで感情をコントロールされたりしない」

「私の感情は私自身がコントロールできる」

「私の感情の責任は私だけにある」

「相手の感情の責任は私にはない」

 

相手の感情は、その人が責任を持つことです。

あなたの自分の何かがその人の感情を傷つけたという脅しには乗らないことです。

 

あなたは自分の自発的な感情を信じることも許可されているのです。

「そんな風に感じるなんてダメだよ」と他人から言われる必要はないと言うことです。

 

 

これを頭に置いて、相手が自分の罪悪感に訴えて感情を操作しようとしてきても、きっぱりと自分の判断でそれが自分に必要かどうかを判断できるように訓練していくことです。

 

またその時には、共依存の関係にある人からは、抵抗に遭うことも覚悟する必要があります。

あるいはまた、自分自身の内側からも、「こんなやり方はよくないよ。今までのままの方が平和でいいんだよ。」といった抵抗が出てくるかもしれません。

 

しかし、自分の魂を売り渡したまま生きるのがいやなら、それは取り組む価値のあることです。

自分を取り戻せるまで、少しずつ繰り返して自分のものにしていくことです。


◆3つの家庭『レンガ壁・クラゲ・背骨』

バーバラ コロローソさんは、子育てにおける家庭には3つのタイプがあると言います。

 

「レンガ壁タイプ」は、変えようのない枠組みが頑として出来上がっていて、しかもそれはすべて親の権限に委ねられています。子どもが自分の自主性を発揮する隙はありません。

 

「クラゲタイプ」は、その名前のように背骨になるはっきりした基準がありません。

レンガ壁タイプとは対照的に、すべて行き当たりばったりで、一貫性のないしつけになってしまいます。

 

「背骨タイプ」は、上記の2つのタイプに欠けている「背骨」がしっかりしています。

「背骨」とは、子どもが自分のことを大事な存在であると確信できる拠り所を持たせてくれるものです。

「背骨」が育っていれば、自分も他人もそれぞれが大事な存在であることを認識しますから、どちらに対しても傷つける様な行動を取らずに、それぞれがかけがえのない存在であることを見いだします。

 

 

「レンガ壁タイプ」の問題は、親子の間で上下関係が一方的に存在するため、命令は有無を言わせないものとなり、そのような親に育てられた子どもは、自分自身で判断するという能力を育てられないままになってしまうことです。

 

単に命令する態度だけを受け継ぐのなら、まだ救いはありますが、自分で考える能力を奪われ、自分の要求を持つことは出来ないこと(やってはいけないこと)だと信じ込まされますから、大人になってからも自分の判断や感情を表現することが出来なくなります。

 

その時、その場面で自分の判断する力を押さえつけていますから、やれることは親が見せてきた、一方的な押しつけや、反抗に対して力で押さえつけようとするやりかたばかりになってしまいます。

 

このようなやり方でそだてられると、「考えるな」とか「感じるな」という禁止令を背負い込んでいくことになります。

 

この結果大人になっても、自分の考えや感じ方を人前で表現することを、無意識にさけるようになります。

 

たとえば、自分が意見を言えないのは、充分な知識がないからだと言い聞かせているかもしれません。

 

しかし、自分の禁止令に気がつかないと、いくら知識や情報を与えられても、なぜか自分の意見が思い浮かばないという状態になるかも知れません。

 

あるいは、自分は感情を表現しないタイプだとか、感受性が乏しいと思い込んでいるかもしれませんが、何かのきっかけで火が付いたような感情の表出が起こって、自分でも戸惑うかもしれません。

 

また、「レンガ壁タイプ」に育った子どもは、親のような一方的な力で押さえつけるやり方を嫌い、自分が親になったらそのようなやり方を子どもにはしないようにしようと思う場合もあります。

 

しかし、そこで親とは違った、自分のやり方、考えを持とうとしたときに、自分の中でそのモデルになるものが育っていなかったことに直面することになります。

 

 

そのような経緯から出来上がった家庭は、「クラゲタイプ」になる可能性が在ります。

 

親は子どもに自分が受けたような、強制的な力関係を持たないようにしようと思いますが、その一方で子どもにどのように見本を示して良いのかわからないことが多いからです。

 

その結果、子どもに対しては自由にやらせてあげようとする一方で、急に親に教えられたような高圧的な禁止命令を与えたりすることになります。

 

子どもの自主性をはぐくむ場面と、圧力を掛けても矯正すべき場面を見分けて、やり方を変えるというモデルになる親像が、自分の中にないからです。

 

あるいは、自分自身もどう動いて良いかがわからないのかもしれません。

 

また、上記のタイプと重なる部分もあるかもしれませんが、「クラゲタイプ」には、自分の面倒を見たり、困難を処理するのに精一杯であるために、子どもへの対応が「クラゲ」のように背骨なしになってしまう場合もあります。

 

たとえば、自分の自尊心をうまく育てられなくて、子どものことを考えるだけの余裕が無かったり、アルコール依存や仕事依存のために家庭を顧みる余裕がもてないといった理由で、子どもを相手にしている時間を持つことが出来ません。

 

子どもにしてみれば、拠り所にするものを親から期待できないので、何でも自分で処理しなければならないと思うしかありません。

 

しかし、子どもには充分な判断力は期待できませんから、でたらめをやることになったり、また人を信用するという心を育てられません。

 

そんななかで、どうにか生きていくためには、表面上は大丈夫を装ったりしますが、いつも不安でたまらないでしょう。

 

嘘をついたりして、何とか人を利用する方法を編み出そうとするかもしれません。

 

 

当然「クラゲタイプ」の場合も、「レンガ壁タイプ」に育てられた子どもと同様に、自分や他人の面倒を見るというモデルが育ちませんし、自分を大切にすることや、自分に価値があると信じることが難しくなってしまいます。

 

「レンガ壁タイプ」や「クラゲタイプ」というのは、別にすべての面でそうなるというわけではないわけで、だれしも部分的には、自分にもそういう所があると思うことでしょう。

 

どれだけ、親から影響を受けたかは人それぞれ違いますが、親自身もやりたくてそうしたわけではないという点をわすれてはならないでしょう。

 

自分の側も、充分に育たなかった部分は、そのような事情もあって仕方がなかったんだと認識すれば、今度は自分で自分の中に、新しい親のモデルを作り上げていくという選択も出来るわけです。

 

「背骨タイプ」の特徴として、バーバラさんが上げていることを引用してみます。

 

●子どもを無条件に愛し、受け入れ、はげますことによって、子どもを尊重する。人生において大切な意味をもつ次のようなメッセージを日々与える。

 

「わたしはあなたを信頼している」

「あなたはちゃんと取り組めると思う」

「わたしはあなたの言葉を聞いている」

「あなたは大事にされている」

「あなたはわたしにとって大切な存在だ」

 

●子どものあるがままの姿を受け入れ、やる気をうながす。

 

●失敗しても、きちんと「次のチャンス」が与えられる。

 

●自分の感情を受け入れ、責任を持ってその感情を表現する方法を学ぶ。

 

●しっかりした自尊心を育み、トラブルや危険から身を守れるようになる。

 

●経験によって、他人の意見を尊重することを覚える。

 

●ルールは、はっきりとわかりやすく言葉にされる。

 

●子どもの尊厳を保ちながら、問題解決の方法を考えさせる。

 

 

「自分ならもっと他のやり方を知っているのに」と親が思っても、成功にしろ失敗にしろ自分自身で経験させなければ自分のものになりませんから、時には言葉を呑み込む必要も有るでしょう。

 

経験のある大人と違って、子どもははっきりしたルールを示されないと、自分で判断する力がないかもしれません。

 

「自分の役割を果たさなかったら、あした学校に行かせません」と言えば、子どもは朝になってもベッドから出ようとしないかも知れません。「出来なかった分は、学校から帰ったら遊びに行くまでに済ませること」というようにはっきり示さないとなりません。

 

 

子どもの問題行動を叱るには、まず、何がいけない事だったのかをはっきりさせておくことが必要です。

 

親がただ、「なんてことをしてくれたんだ」と怖い顔をしていただけでは、子どもは何を問題にしているのかわかっていないかもしれません。

 

また、問題が明らかになった所で、子どもがどのようにそれに関わっていて、どの部分に自分が責任を負わなくてはいけなかったのかをはっきりさせる必要があります。

 

そうしないと、同じ事態が起きるたびに、自分が係わっていなくても、また叱られるのではないかと脅えるようになってしまうでしょう。

 

それと、子どもに解決能力があるようになったら、できるだけ解決する方法を考える事に参加させて上げるのが良いでしょう。

 

自分も後始末に参加出来ることで、子どもは自信を持つことができますし、失敗の記憶よりも自分の解決能力を発揮出来たことに夢中になるかもしれません。

 

逃げようのない無条件の非難で子どもの自尊心を傷つけることを避け、また、安易な賞罰で問題ある行動をやめさせるのは必要最低限に留めた方が良いでしょう。

 

アメで言うことを聞かせれば、次もアメがないと動かなくなるし、ムチで力任せに従わせていると、そのうち子どもが力を持ったら仕返しやるぞと思うかも知れません。

 

そして、では自分も「背骨タイプ」になろうと決心しても、自分の持っていないことまで急に出来る様になるわけではありません。

 

親だからというだけで、失敗や欠点を免れるわけではありませんから、まずは親自身が自分自身と折り合いをつけられるようになる必要があることは言うまでもないでしょう。

 

 

【参考文献】

子どもに変化を起こす簡単な習慣―豊かで楽しいシンプル子育てのすすめ (PHP文庫)

バーバラ コロローソ / PHP研究所 / 2003-11 /  

 

 




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